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5/11(火)午後、参議院総務委員会にて「地方公共団体情報システム標準化法案」の質問に立ちました。













5/11(火)午後、参議院総務委員会にて「地方公共団体情報システム標準化法案」の質問に立ちました。これまで、各自治体ごとにコンピューターシステムを各種業務ごとに入れてきたために、市町村の情報システムは「古い旅館」のように「増築」「改築」を重ねて維持コストが高くつくようになっています。これを、全国共通の「ガバメントクラウド」(政府が提供する情報システムの基盤)や市町村の主な17業務の標準化システム(全国共通のプログラム)を導入して一新することで、コストを抑えつつ各市町村のデジタル化を進めようという法案です。
一部のIT業者が全国の市町村の業務用のプログラムを組むことになる可能性が高く、そうなると、これまで各地で市町村などの情報システムを組み、プログラムを作ってきた中小IT業者の業務が大幅に減ってしまう可能性があります。東京の一部の大手IT業者が全国の「市町村情報システム市場」を独占・寡占(かせん)してしまうおそれがあります。そうなると各地の中小IT業者の役割が極端に小さくなって、各地のITエンジニアの皆さんが働く場所も減ってしまいます。
「これまで市町村の情報化に尽力してきた地元中小IT業者の果たす役割はどうなるのか?」と質問すると「地域のIT業者もガバメントクラウドや17業務の標準化システムづくりに参入することが可能。また(市町村のシステム設計・維持から)デジタル活用支援などへのシフトしていくだろう。積極的なIT業者に対しては積極的に情報提供を進めるなどして中小IT業者を支援していきたい」という武田総務大臣の答弁。やはり、情報システム設計・維持管理を受注してきた地元IT業者は、全国共通のプログラムの設計に関われない場合には「アフターサービス」「アウト・ソーシング」(市町村の外部委託)「IT人材提供」などに移行するなど、業務の縮小を余儀なくされることになりそうです。
「ガバメント・クラウド」や市町村の基幹17業務の「標準化システム」の全体像がどうなるのかを早く示してほしいと内閣IT室に要望しました。各地のIT業者だけでなく東京に本社がある大手IT業者でも「市町村のデジタル化についての情報がないので困っている」ということです。内閣IT室の方からは「説明会を開くことで情報提供に努めたい。先行事業をフィードバックすることで詳細な情報提供を進めたい」という答弁。
一方、2000年ごろから「世界最先端のIT国家」をわが国はめざしてきましたが、この20年うまくいかなかった歴史があります。質問では、2012年に開発中止になった特許庁の「基幹系システムの全面刷新」の原因について尋ねました。
受注した業者の技術力が低かったという問題もありましたが、「上流」つまり「発注側」である特許庁側にも問題があったということです。新しい情報システムを組むには現在行っている業務の「可視化」をはかって、業務の全ての流れを「流れ図」に落としたり、「非効率」な業務を整理する業務プロセス改革(BPR)を進める、プログラムを組む際の「要件定義」をまとめるなど発注者が行うべきことが出来ていなかった問題がありました。「業者丸投げ」では職場のIT化はうまくいきません。
※質問では、この課題に触れた「日経クロステック」の記事に触れながら問いました。ご関心のある方は添付画像の配布資料をご覧ください。
また、職場のトップが「デジタル化」の意識を持っていなければ、IT化やデジタル・トランスフォーメーションはうまくいきません。外部から来る業者に任せておけば出来上がり、ではなく、各担当課も先ほど触れたような負担をしなければデジタル化は進まないので、社長や首長などの強いリーダーシップがなければ各部局の協力態勢は組めず、デジタル化はうまくいきません。市町村の首長などトップの職員の方々の意識啓発としてのIT研修の充実について要望しました。
また、「IT人材が不足している」といわれる中で市町村に仕事もITも分かる職員を増やしていく必要があります。市町村がIT人材を採用しても地方交付税が減らされることがないような仕組みづくりを要望しました。


山形県参議院議員 芳賀道也(はが みちや)

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